【ケープタウンIPS=ミリアム・マナク、9月27日】
南アフリカ共和国で最大のエイズロビー団体「治療行動キャンペーン(TAC)」は、ケープタウンでの記者会見で、政府がタンザニアのエイズ患者に違法な医学実験を行った証拠をつかんだと語った。TACによると、この実験は南アの製薬会社が開発したヴィロディンという薬を使用したもので、当局が資金提供を行い、2000~2001年に行われた。
南アの医薬品管理委員会(MCC)はヴィロディンを審査した結果、エイズ治療に効果がなく、肝臓に悪いことが判明したため、不合格としている。けれどもTACはこの薬品の製造者に570万ドルが大統領の代理人から渡っており、タンザニアでの調査・開発に利用されているという。ムベキ大統領はこの医薬品の開発を支援していた。
TACは「タンザニアの首都ダルエスサラームでは、2カ所の医療機関でタンザニア人民防衛軍のヴィロディン人体実験が行われた」とし、タンザニアでの実験と南ア政府の役割を調査する司法委員会の設立を求めている。
南ア政府がエイズに関連して注視されるのは初めてではない。2000年にダーバンで開催された国際エイズ会議で、ムベキ大統領はエイズの最大の原因はウイルスよりも貧困であると語って非難された。チャバララ・ムシマン保健大臣もにんにくなど特定の食品がエイズ治療に効果があると国民に信じさせようとして糾弾されている。
エイズ患者の延命に効果のある抗レトロウィルス薬(ARVs)の供給の遅れも、もう一つの問題となっている。南ア政府は2003年に国民のARVsの使用を承認し、2006年末までに30万人の治療を行うことを目的とした世界最大規模の治療計画を開始した。保健局は目的を達成したと述べているが、国連エイズ合同計画によると、治療を必要としている南アのエイズ患者は80万人である。
この数はさらに増加しており、南ア人間科学調査会によると、南ア国内で毎日1,500人が感染し、毎年30万人がエイズ関連の病気で死亡している。実際に100万人近くが治療薬を必要としているのだから、政府の対応はまだ不十分である。