義務教育機関として、8年制の初等教育学校(ilk öğretim okulu)が置かれ、そのほか4年制(2004年9月入学以降、それ以前は3年制)の高等学校(lise)、大学(üniversite)などが置かれている。ほかに就学前教育機関として幼稚園(anaokulu)なども存在する。初等教育学校を含めほぼ全ての学校が国立だが、私立学校も存在する。ただし、私立学校の1ヶ月間の学費は、給食費・施設費等込みで一般労働者の月収とほぼ同等で、きわめて高価である。
公立高校・公立大学への入学にはそれぞれLGS・ÖSSの受験を必要とし、成績順で入学校を決定する。トルコにも受験競争は存在し、高校入試・大学入試のために塾(dershane)に通うことも珍しくない。
教員数・教室数はともに十分な数には達しておらず、初等教育学校は午前・午後の二部制である。また学校設備も不十分で、体育館・プールなどは公立学校にはまず存在しない。運動場は狭くコンクリート張りで、バスケットボールやフットサルが精一杯である。また、図書館も存在しないか、あっても不十分である。学校設備の問題に関しては国も認識し、世界銀行からの融資を受けるなどして改善を図っているが、厳しい財政事情もあって改善が進まないのが現実である。
2004年現在、男子児童の就学率は統計上ほぼ100%に到達したが、女子児童の非就学者は政府発表で65万人程度存在し、トルコ政府は、「さあ、女の子たちを学校へ(Hadi Kızlar Okula)」キャンペーンを展開するなどその解消に努めている。しかし、女子非修学者の問題には、経済事情に加え、男女共学のうえ、未だ保守的なイスラムを奉ずる地域ではヘッドスカーフ着用禁止の初等教育学校に通わせることを宗教的な観点から問題視する親が存在するという事情もあり、女子非修学者の減少はやや頭打ちの状態である。
コメント