建国当初のトルコの経済政策は、輸入代替をおもな目標とするものであったため、軽工業は一応の発展を見た。そのため、衣服・靴・玩具・陶磁器・日用雑貨品等の生活用品はほぼ自給可能である。ただし、近年では「100万トルコリラ(日本円で100円程度)ショップ」での販売に代表される安価な中国製品の輸入が急増しており、国内企業の業績を圧迫しつつある。関係業界は政府に対策を求めているが、政府の動きは遅い。
トルコにおいては、オスマン帝国時代以前から製陶が行われており、その伝統を引き継いだ製陶業はいまも盛んに行われている。伝統的で小規模な産地としてはイズニクが、また大規模な工業として成立している産地としてはキュタヒヤがあげられる。特にキュタヒヤでは近郊で産出される豊富な陶土を生かし、巨大な製陶工場が多く建設されている。その中でもキュタヒヤポルセレン(KütahyaPolseren)とギュラルポルセレン(GüralPolseren)の2社はトルコ国内では全国的に有名である。また、トルコの製陶業は食器だけでなくトイレ等の衛生機器分野にも進出している。
トルコはもともとヨーロッパ向けに輸出される羊毛と綿花の産地であったことから、伝統的に繊維産業が盛んであり、現在でも輸出額の約3分の1を占める主要産業である。また現在では天然繊維だけでなくブルサを中心に化学繊維の生産も盛んである。トルコの繊維産業の輸出先は主に欧州連合とアメリカ合衆国であるが、2005年からの中国に対する輸入割り当ての撤廃により、今後厳しい状況が予想される。これに対しトルコの繊維産業界と政府ではデザインの向上によるアパレル製品の付加価値向上や、人件費の安い東部・南東部アナトリアや中央アジアへの工場移転などの対策を打っている。
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